説明

CRF受容体アンタゴニストおよびそれらに関連する方法

発作などの、哺乳動物におけるCRFの分泌過多を明示する障害の治療を含む、種々の障害の治療において有用性を有するCRF受容体アンタゴニストを開示する。本発明のCRF受容体アンタゴニストは、その医薬上許容される塩、エステル、溶媒和物、立体異性体およびプロドラッグを含む、以下の構造式(a)(式中、R1、R2、R3、Y、ArおよびHetは本明細書の記載と同意義である)を有する。CRF受容体アンタゴニストおよび医薬上許容される担体を含有する組成物、ならびにそれを用いる方法もまた開示されている。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願番号60/532,044(2003年12月22日出願)の優先権を主張するものであり、その内容を出典明示により本明細書の一部とする。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般に、CRF受容体アンタゴニストに、そしてそれらを必要とする哺乳動物にかかるアンタゴニストを投与することによる障害の治療方法に関する。
【0003】
(従来技術)
最初の副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)はヒツジの視床下部から単離され、41−アミノ酸ペプチドと同定された(非特許文献1)。その後、ヒトとラットのCRFの配列が単離され、同一であるが、41−アミノ酸残基の7個においてヒツジCRFと異なると決定された(非特許文献2、非特許文献3)。
【0004】
CRFは、内分泌、神経および免疫系機能において大きな改変を引き起こすことが判明している。CRFは、副腎皮質刺激ホルモン(「ACTH」)、β−エンドルフィン、および脳下垂体前葉からの他のプロオピオメラノコルチン(「POMC」)由来ペプチドの基礎放出およびストレス解放の主たる生理調節物質であると考えられている(非特許文献1)。簡単に言えば、CRFは、脳(非特許文献4)、脳下垂体(非特許文献5、非特許文献6)、副腎(非特許文献7)および脾臓(非特許文献8)の全体にわたって分散されていることが判明している原形質膜受容体と結合することにより、その生物作用を開始すると考えられている。CRF受容体はCRF刺激のcAMPの細胞内産生における増加を媒介するGTP結合蛋白(非特許文献9)と結びつけられる(非特許文献10)。CRFに対する受容体は、現在は、ラット(非特許文献11)、およびヒト脳(非特許文献12、非特許文献13)からクローン化される。この受容体は、7回膜貫通ドメインを含んでなる415アミノ酸蛋白である。ラットとヒトの配列の同一性の比較は、アミノ酸レベルで高度の相同性(97%)を示す。
【0005】
ACTHおよびPOMCの産生を刺激するその役割に加えて、CRFは、ストレスに対する多種の内分泌反応、自動反応および行動反応を調整すると考えられており、情動障害の病態生理に関連するかもしれない。さらに、CRFは、免疫系、中枢神経系、内分泌系および循環器系間の連絡における重要な中間物質であると考えられている(非特許文献14、非特許文献15、非特許文献16)。概して、CRFは、重要な中枢神経系の神経伝達物質のひとつであると思われ、ストレスに対する身体の全応答を統合するにおいて、重要な役割を果たす。
【0006】
CRFの脳への直接投与は、ストレスの多い環境に曝露された動物で観察される反応と同一の行動反応、生理反応、および内分泌反応を引き起こす。例えば、CRFの脳室内注入は、行動活性化(非特許文献17)、脳波の持続性活性化(非特許文献18)、交感神経副腎髄質経路の刺激(非特許文献19)、心拍数および血圧の増加(非特許文献20)、酸素消費の増加(非特許文献21)、胃腸活動の変化(非特許文献22)、食物消費の抑制(非特許文献23)、性行動の修飾(非特許文献24)、および免疫機能の低下(非特許文献25)をもたらす。さらに、臨床データは、CRFが鬱病、不安症関連障害、および神経性食欲不振において、脳に過剰に分泌されうることを示唆する(非特許文献26)。従って、臨床データは、CRF受容体アンタゴニストがCRF分泌過多を明白に示す神経精神障害の治療に有用でありうる新規の抗鬱薬および/または抗不安薬であると示唆する。
【0007】
最初のCRF受容体アンタゴニスは、ペプチド(例えば、特許文献1(Rivierら)、非特許文献27を参照のこと)であった。これらのペプチドは、CRF受容体アンタゴニストがCRFに対する薬理学的反応を減弱しうることを確立したが、ペプチドCRF受容体アンタゴニストには、ペプチド治療に通常認められる欠点(安定性の欠如および限定された経口活性を含む)がある。最近になって、小分子のCRF受容体アンタゴニストが報告された。いくつかの公開されている特許公報として、特許文献2、特許文献3、および特許文献4が挙げられ、それらの全てが、CRFアンタゴニストとしてピラゾロピリミジン化合物を開示する。公開公報の特許文献5は、チロシンキナーゼ阻害剤として特定のピラゾロピリミジン化合物を記載する。
【0008】
CRFの生理学的意義のため、CRF受容体との有意な結合活性を有し、かつCRF受容体に対する拮抗能を有する、生理学的に活性な低分子の開発は、今も望ましい目標である。かかるCRF受容体アンタゴニストは、一般に、内分泌、精神および神経の異常もしくは疾患(ストレス関連障害を含む)の治療に有用でありうる。
【0009】
CRF受容体アンタゴニストの投与を介してのCRF調整の達成に向って有意な前進がなされたが、当該分野において効果的な低分子CRF受容体アンタゴニストに対する要求がある。かかるCRF受容体アンタゴニストを含有する医薬組成物に対する要求、ならびに、例えば、ストレス関連障害を治療するためのそれらの使用に関する方法に対する要求もある。本発明は、これらの要求を満足させ、他の関連した利点を提供する。
【特許文献1】米国特許第4,605,642号明細書
【特許文献2】米国特許第6,313,124号明細書
【特許文献3】国際公開第01/23388号パンフレット
【特許文献4】国際公開第97/29109号パンフレット
【特許文献5】国際公開第98/54093号パンフレット
【非特許文献1】Valeら、Science 213:1394-1397, 1981
【非特許文献2】Rivierら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4851, 1983
【非特許文献3】Shibaharaら、EMBO J. 2:775, 1983
【非特許文献4】DeSouzaら、Science 224:1449-1451, 1984
【非特許文献5】DeSouzaら、Methods Enzymol. 124:560, 1986
【非特許文献6】Wynnら、Biochem. Biophys. Res. Comm. 110:602-608, 1983
【非特許文献7】Udelsmanら、Nature 319:147-150, 1986
【非特許文献8】Webster, E.L.およびE.B. DeSouza, Endocrinology 122:609-617, 1988
【非特許文献9】Perrinら、Endocrinology 118:1171-1179, 1986
【非特許文献10】Bilezikjian, L.M.およびW.W. Vale, Endocrinology 113:657-662, 1983
【非特許文献11】Perrinら、Endo 133(6):3058-3061, 1993
【非特許文献12】Chenら、PNAS 90(19):8967-8971, 1993
【非特許文献13】Vitaら、FEBS 335(1):1-5, 1993
【非特許文献14】Croffordら、J. Clin. Invest. 90:2555-2564, 1992
【非特許文献15】Sapolskyら、Science 238:522-524, 1987
【非特許文献16】Tildersら、Regul. Peptides 5:77-84, 1982
【非特許文献17】Suttonら、Nature 297:331, 1982
【非特許文献18】Ehlersら、Brain Res. 278:332, 1983
【非特許文献19】Brownら、Endocrinology 110:928, 1982
【非特許文献20】Fisherら、Endocrinology 110:2222, 1982
【非特許文献21】Brownら、Life Sciences 30:207, 1982
【非特許文献22】Williamsら、Am. J. Physiol. 253:G582, 1987
【非特許文献23】Levineら、Neuropharmacology 22:337, 1983
【非特許文献24】Sirinathsinghjiら、Nature 305:232, 1983
【非特許文献25】Irwinら、Am. J. Physiol. 255:R744, 1988
【非特許文献26】DeSouza, Ann. Reports in Med. Chem. 25:215-223, 1990
【非特許文献27】Rivierら、Science 224:889, 1984
【0010】
(発明の開示)
概して、本発明は、CRF受容体アンタゴニスト、さらに具体的には以下の一般構造式(I):
【化1】

(式中、R、R、R、Y、Ar、およびHetは、以下に同意義である)
を有するCRF受容体アンタゴニスト(それらの医薬上許容される塩、エステル、溶媒和化合物、立体異性体、およびプロドラックを含む)に関する。
【0011】
本発明のCRF受容体アンタゴニストは、広範囲の治療的適用にわたって有用であり、多様の障害もしくは疾患(ストレス関連障害を含む)を治療するのに使用されうる。かかる方法は、有効量の本発明のCRF受容体アンタゴニストを、好ましくは医薬組成物の形態で、それらを必要とする動物に投与することを包含する。従って、別の実施形態において、1種もしくは複数種の本発明のCRF受容体アンタゴニスト、および医薬上許容される担体および/または希釈剤を含有する医薬組成物が、開示されている。
【0012】
これらのおよび他の本発明の態様は、以下の詳細な記載を参照して明らかになるだろう。この目的のため、特定の手順、化合物および/または組成物をさらに詳細に記載する、種々の文献が本明細書にて列挙されており、それらを出典明示により本明細書の一部とする。
【0013】
(発明の詳細な記載)
本発明は、一般に、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)受容体アンタゴニストとして有用な化合物に関する。
【0014】
第一の実施形態において、本発明のCRF受容体アンタゴニストは、その医薬上許容される塩、エステル、溶媒和化合物、立体異性体もしくはプロドラックを含め、以下の構造式(I):
【化2】

【0015】
[式中:
「---」は任意の二重結合の第二の結合を表し;
は水素、アルキル、置換アルキル、−NHまたはハロゲンであり;
は−NR8または−OR10であり;
は結合、水素またはアルキルであり;
Yは=(CR)−または−(C=O)−であり;
は水素、アルキル、置換アルキル、チオアルキル、アルキルスルフィニルまたはアルキルスルホニルであり;
Arはフェニル、1個もしくは2個のRで置換されていてもよいフェニル、ピリジル、または1個もしくは2個のRで置換されていてもよいピリジルであり;
は、各々の場合において、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノ、ハロゲン、アルキルスルフィニルまたはアルキルスルホニルであり;
Hetは、1個もしくは2個のRで置換されていてもよいヘテロアリールであり;
は、各々の場合において、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノ、ハロゲン、−C(O)OR11またはヒドロキシであり;
【0016】
は水素、アルキル、置換アルキル、複素環、置換複素環、複素環式アルキル、置換複素環式アルキル、アルコキシアルキル、置換アルコキシアルキル、アリール、置換アリール、アリールオキシアルキル、置換アリールオキシアルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルであり;
はアルキル、置換アルキル、複素環、置換複素環、複素環式アルキル、置換複素環式アルキル、アルコキシアルキル、置換アルコキシアルキル、アリール、置換アリール、アリールオキシアルキル、置換アリールオキシアルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルであるか;または
とRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1、2または3個のRで置換されていてもよい複素環を形成し;
は、各々の場合において、ヒドロキシ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、−CH−OC(O)R13、−C(O)OR11、−C(O)NR1112、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、アリール、置換アリール、複素環、置換複素環、アルコキシアルキルまたは置換アルコキシアルキルであり;
【0017】
10はアルキル、置換アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、アリールオキシアルキルまたは置換アリールオキシアルキルであり;
11とR12は、同一または異なり、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、複素環、置換複素環、複素環式アルキル、置換複素環式アルキル、アルコキシアルキル、置換アルコキシアルキル、アリール、置換アリール、アリールオキシアルキル、置換アリールオキシアルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルであり;および
13はアルキル、置換アルキル、複素環、置換複素環、アルコキシまたは置換アルコキシを意味する]
を有する。
【0018】
本明細書において使用する、上記の語は、以下の意味を有する:
「アルキル」は、1〜10個の炭素原子を含有する直鎖もしくは分岐、非環状もしくは環状、不飽和もしくは飽和の脂肪族炭化水素を意味し、「低級アルキル」なる語は、アルキルと同じ意味を有するが、1〜6個の炭素原子を含有する。代表的な飽和直鎖アルキルとして、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、飽和分岐アルキルとして、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチル等が挙げられる。代表的な飽和環状アルキルとして、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−CH−シクロプロピル、−CH−シクロブチル、−CH−シクロペンチル、−CH−シクロヘキシル等が挙げられ、不飽和環状アルキルとして、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニル等が挙げられる。環状アルキルは、「単素環式環」と呼ばれ、単素二環式環および単素多環式環(例、デカリンおよびアダマンチル等)を包含する。不飽和アルキルは、隣接した炭素原子間に少なくとも1個の二重結合もしくは三重結合を含有する(それぞれ「アルケニル」または「アルキニル」と呼ばれる)。代表的な直鎖および分岐のアルケニルとして、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル等が挙げられ、代表的な直鎖および分岐のアルキニルとして、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1ブチニル等が挙げられる。
【0019】
「アルキリデニル」は、同じ炭素原子から2個の水素原子が離脱した二価のアルキル(例、=CH、=CHCH、=CHCHCH、=C(CH)CHCH等)を表す。
【0020】
「アリール」は、芳香族炭素環式基(例、フェニルもしくはナフチル)を意味する。
【0021】
「アリールアルキル」は、アリール基で置換された少なくとも1個のアルキル水素原子を有するアルキル(例、ベンジル(つまり、−CHフェニル)、−CH−(1または2−ナフチル)、−(CHフェニル、−(CHフェニル、−CH(フェニル)等)を意味する。
【0022】
「アリールオキシアルキル」は、酸素架橋を介してアルキルに結合したアリール(つまり、アリール−O−アルキル−)(例、−メチル−O−フェニル等)を意味する。
【0023】
「ヘテロアリール」は、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有し、少なくとも1個の炭素原子を含有する、5〜10員の芳香族複素環式環(単環式および二環式系の両方を含む)を意味する。代表的なヘテロアリールとして、(これに限定されないが)フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニル、およびキナゾリニルが挙げられる。
【0024】
「ヘテロアリールアルキル」は、ヘテロアリール基で置換された少なくとも1個のアルキル水素原子を有するアルキル(例、−CH−ピリジニル、−CH−ピリミジニル等)を意味する。
【0025】
「複素環」(本明細書において「複素環式環」とも呼ぶ)は、飽和、不飽和または芳香族のいずれかであり、窒素、酸素および硫黄(窒素および硫黄ヘテロ原子は、場合により酸化されることもあり、窒素ヘテロ原子は、場合により四級化されることもある)から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する、5〜7員の単環式、または7〜14員の多環式の複素環式環を意味し、上記の複素環のいずれかが、ベンゼン環だけでなく三環系(および三環より大きい環系)複素環式環に縮合される二環式環を含む。複素環は、任意のヘテロ原子もしくは炭素原子を介して結合されうる。複素環として、上記に定義されるヘテロアリールが挙げられる。従って、上記に列挙した芳香族ヘテロアリールの他に、複素環として、(これに限定されないが)モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペリジニル(piperizinyl)、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロプリジニル、テトラヒドロピリミジニル(tetrahydroprimidinyl)、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル等が挙げられる。
【0026】
「複素環式アルキル」は、複素環で置換された少なくとも1個のアルキル水素原子を有するアルキル(例、−CHモルホリニル等)を意味する。
【0027】
本明細書において使用される「置換」なる語は、少なくとも1個の水素原子が置換基で置換された上記の基のいずれか(つまり、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、複素環または複素環式アルキル)を意味する。ケト置換基(「−C(=O)−」)の場合、2個の水素原子が置換される。本発明の範囲内の「置換基」として、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環式アルキル、置換複素環式アルキル、−NR、−NRC(=O)Rb、−NRC(=O)NR、−NRC(=O)OR−NRSO、−OR、−C(=O)R、−OC(=O)OR、−C(=O)OR、−C(=O)NR、−OC(=O)NR、−SH、−SR、−SOR、−S(=O)NR、−S(=O)2N、−OS(=O)、−S(=O)OR(ここで、RとRは、同一または異なって、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環式アルキルまたは置換複素環式アルキルである)が挙げられる。
【0028】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。
【0029】
「ハロアルキル」は、ハロゲンで置換された少なくとも1個の水素原子を有するアルキル(例、トリフルオロメチル等)を意味する。ハロアルキルは、アルキルが1個もしくは複数個のハロゲン原子で置換された置換アルキルの特定の形態である。
【0030】
「アルコキシ」は、酸素架橋を介して結合したアルキル部分(つまり、−O−アルキル)(例、−O−メチル、−O−エチル等)を意味する。
【0031】
「チオアルキル」は、硫黄架橋を介して結合したアルキル部分(つまり、−S−アルキル)(例、−S−メチル、−S−エチル等)を意味する。
【0032】
「アルキルアミノ」および「ジアルキルアミノ」は、窒素架橋を介して結合した1個または2個のアルキル部分(つまり、−NHアルキルまたは−N(アルキル)(アルキル))(例、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等)を意味する。
【0033】
「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されたアルキルを意味する。
【0034】
「モノ−もしくはジ(シクロアルキル)メチル」は、1個もしくは2個のシクロアルキル基で置換されたメチル基(例、シクロプロピルメチル、ジシクロプロピルメチル等)を表す。
【0035】
「アルキルカルボニルアルキル」は、−C(=O)アルキル基で置換されたアルキルを表す。
【0036】
「アルキルカルボニルオキシアルキル」は、−C(=O)Oアルキル基もしくは−OC(=O)アルキル基で置換されたアルキルを表す。
【0037】
「アルコキシアルキル」は、−O−アルキル基で置換されたアルキルを表す。
【0038】
「アルキルチオアルキル」は、−S−アルキル基で置換されたアルキルを表す。
【0039】
「モノ−またはジ(アルキル)アミノ」は、それぞれ1個のアルキルまたは2個のアルキルで置換されたアミノを表す。
【0040】
「モノ−またはジ(アルキル)アミノアルキル」は、モノ−またはジ(アルキル)アミノで置換されたアルキルを表す。
【0041】
「アルキルスルホニルおよびアルキルスルフィニル」は、それぞれスルホニル(−S(=O)−)またはスルフィニル(−S(=O)−)で置換されたアルキルを表す。
【0042】
本明細書において示される本発明の実施形態は、例としての目的であって、限定する目的ではない。本発明の第一実施形態において、Rは、結合であり、Yは、以下の構造式(II)において、=(CR)−であり、さらなる一実施形態において、Yは、以下の構造式(III)において−(C=O)−である。
【化3】

(II) (III)
【0043】
本発明のさらなる実施形態(Yは、=(CR)−である)は、Rが、−NRである場合、構造式(IV)を有し、Rが、−OR10である場合、構造式(V)を有する。
【化4】

(IV) (V)
【0044】
本発明のさらなる実施形態(Yは、=(CR)−である)において、Rは、−NRである(式中、RとRは、以下の構造式(VI〜VIII)において、それらが結合する窒素原子と共に0、1、2、または3個のRで置換されうる6環原子(これらに限定されない)により例示される複素環式環を形成する)。
【化5】

(VI) (VII) (VIII)
【0045】
本発明のさらなる実施形態(Yは、=(CR)−である)において、Rは、−NRである(式中、RとRは、以下の構造式(IX)において、それらが結合する窒素原子と共に、二環式複素環を形成する)。
【化6】

(IX)
【0046】
本発明のさらなる実施形態において、Arは、2個のR(式中、各Rは、以下の構造式(X)に示される如く、同一でも異なってもよい)で置換されたフェニルであり、Hetは、以下の構造式(XI)においてRで置換されたピリジルである。
【化7】

(X) (XI)
【0047】
本発明の化合物は、通常、遊離塩基として利用されうる。別法として、本発明の化合物は、酸付加塩の形態で使用されてもよい。本発明の遊離塩基性アミノ化合物の酸付加塩は、当技術分野で周知の方法で調製されてもよく、有機酸および無機酸から合成してもよい。適切な有機酸として、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、ケイ皮酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸、グルタミン酸、およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。適当な無機酸として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、および硝酸が挙げられる。従って、構造式(I)の用語「医薬上許容される塩」は、あらゆる全ての許容しうる塩の形態を包含することを意図する。
【0048】
一般的に、構造式(I)の化合物は、実施例に記載される典型的な方法によるのみでなく、当業者に周知の有機合成法に従って、合成されてもよい。例えば、構造式(I)の合成は、一般的に、以下の反応スキーム1に従って、進行しうる。
【0049】
反応スキーム1
【化8】

【0050】
4−アミノ安息香酸エステルaのアミノ官能基は、(所望により)置換マロンアルデヒドと縮合させて、対応する4−ピラゾール−1−イル安息香酸エステルbを得てもよい。LAH、SOCl、およびNaCNと反応させて、ピラゾロフェニルアセトニトリル化合物cに変換した後、Na/カルボン酸エチルエステルおよびヒドラジンと反応させて、ビス−ピラゾールdを得る。適宜置換されたβ−ケトエステルと反応させて、ピラゾロピリミジンeを得、それをPOClと反応させて、クロリドfを得る。クロリドfをアミンまたはアルコールと反応させて、化合物gを得る。別法として、eをアルキル化して、gを得ることができる。
【0051】
組み込まれたR基は、当業者に周知の標準の方法(例えば酸化/還元、加水分解等)を用いて、さらに処理されまたは反応して、本発明のさらなる例を提供しうる。
【0052】
反応スキーム2
【化9】

【0053】
本発明のピラゾロピリミジン核に至る利用可能な合成経路はたくさんある。反応スキーム2において、所望により置換されていてもよいハロベンズアルデヒドhをトシルメチルイソシアニド(TosMIC)と反応させて、フェニルアセトニトリルiを形成させる。iとNaHおよびEtOAcとを反応させて、3−ヒドロキシブタ−2−エンニトリルjを得、それはヒドラジンHBrとの反応で閉環されて、3−アミノ2−フェニルピラゾールkを得る。β−ケトエステルを加えて、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オールlを得る。末端臭素をHetで置換して本発明の化合物を得る。
【0054】
反応スキーム3
【化10】

【0055】
置換アセトニトリルmをカルボニル化合物nと反応させ(ここで、R’は、良好な脱離基(例、アルコキシ、シアノ、またはハロであり、R”は、アルコキシなどの基である)、シアノエステルoを得る。oをヒドラジンと反応させて、置換ピラゾールpを得る。pをβ−ケトエステルqと反応させて、ピラゾロピリミジンrを得る。POClと反応させて、クロリドsを得て、アミンもしくはアルコールと反応させて、化合物tを得る。
【0056】
CRF受容体アンタゴニストとしての化合物の効果は、様々なアッセイ法により、決定されうる。本発明の適当なCRFアンタゴニストは、CRFのその受容体への特異的結合を阻害し、CRFと関連する活性を拮抗することができる。構造式(I)の化合物は、この目的のため一般に認められた1種もしくは数種のアッセイにより、CRFアンタゴニストとしての活性について評価されうる。上記アッセイとして、(これらに限定されないが)DeSouzaら(J. Neuroscience 7:88, 1987)およびBattagliaら(Synapse 1:572, 1987)により開示されたアッセイが挙げられる。上記の通り、適当なCRFアンタゴニストには、CRF受容体親和性を示す化合物が含まれる。CRF受容体親和性は、放射性標識したCRF(例えば、[125I]チロシン−CFR)のその受容体(例えば、ラット大脳皮質膜から調製される受容体)への結合を阻害する化合物の能力を測定する結合の研究により、決定されうる。DeSouzaら(上記、1987年)により記載される放射リガンド結合アッセイは、CRF受容体に対する化合物の親和性を決定するためのアッセイを提供する。かかる活性は、典型的には、受容体からの放射性標識したリガンドの50%を置換するのに必要な化合物の濃度としてのIC50から算出され、以下の式により、算出される「K」値として、報告される。
【数1】

式中、Lは、放射リガンドであり、Kは、受容体に対する放射リガンドの親和力である(Cheng and Prusoff、Biochem. Pharmacol. 22:3099、1973)。
【0057】
CRF受容体結合を抑制することに加えて、化合物のCRF受容体アンタゴニスト活性は、CRFに関連する活性を拮抗する化合物の能力によって、確立されうる。例えば、CRFは、種々の生化学プロセス(アデニル酸シクラーゼ活性を含む)を誘導することが知られている。従って、化合物は、CRFにより誘導されるアデニル酸シクラーゼ活性を拮抗するそれらの能力により、例えばcAMP濃度の測定することにより、CRFアンタゴニストとして評価されうる。Battagliaら(前掲、1987)により記載されたCRFにより誘導されるアデニル酸シクラーゼ活性のアッセイは、CRF活性を拮抗する化合物の能力を決定するためのアッセイを提供する。従って、CRF受容体アンタゴニスト活性は、一般的に、初期の結合アッセイ法(例、DeSouza(上記、1987)により開示された)、次のcAMPスクリーニングプロトコル(例、Battaglia(前掲、1987)により開示された)を含むアッセイ技法により、決定される。
【0058】
CRF受容体結合親和性に関して、本発明のCRF受容体アンタゴニストは、10μM未満のKを有しうる。本発明の一実施形態において、CRF受容体アンタゴニストは、1μM未満のKを有する。別の実施形態において、Kは、0.25μM(つまり、250nM)未満である。以下にさらに詳細に記載するK値は、実施例24に記載の方法により、検定されうる。
【0059】
本発明のCRF受容体アンタゴニストは、CRF受容体部位で活性を示し、広範囲の障害もしくは疾患(内分泌、精神、および神経の障害もしくは疾患を含む)の治療のための治療薬として使用されうる。さらに具体的には、本発明のCRF受容体アンタゴニストは、CRFの分泌過多から生じる生理学的異常もしくは障害を治療するのに有用でありうる。CRFは、ストレスに対する内分泌反応、行動反応および自動反応を活性化し、調整する重要な神経伝達物質であると考えられているので、本発明のCRF受容体アンタゴニストは、神経精神障害の治療に使用されうる。本発明のCRF受容体アンタゴニストによって治療可能でありうる神経精神障害として、情動障害(例、鬱病);不安症関連障害(例、全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、異常攻撃)、心臓血管系異常(例、不安定狭心症および反応性高血圧症));摂食障害(例、神経性食欲不振、過食症、および過敏性腸症候群)が挙げられる。CRFアンタゴニストは、脳卒中だけでなく様々な疾患状態に関連するストレス誘導性免疫の抑制に有用でありうる。本発明のCRFアンタゴニストの他の使用は、炎症性疾患(例、慢性関節リウマチ、ブドウ膜炎、喘息、炎症性腸疾患および胃腸の運動性疾患)、疼痛、クッシング病、点頭痙攣、癲癇ならびに他の幼児と成人の両方における発作、および種々の物質乱用と禁断症状(アルコール症を含む)の治療に有用でありうる。
【0060】
本発明の別の実施形態において、1種もしくは複数種のCRF受容体アンタゴニストを含有する医薬組成物が、開示される。投与の目的上、本発明の化合物は、医薬組成物として処方されうる。本発明の医薬組成物は、本発明のCRF受容体アンタゴニスト(つまり、構造式(I)の化合物)と医薬上許容される担体および/または希釈剤を含んでなる。CRF受容体アンタゴニストは、特定の障害を治療するのに有効な量、つまり、患者にとって許容できる毒性を有するCRF受容体アンタゴニスト活性を実現するのに十分な量で、医薬組成物中に存在する。本発明の医薬組成物は、投与の経路に応じて適用量当り0.1mg〜250mg、さらに典型的には1mg〜60mgの量で、CRF受容体アンタゴニストを含有する。当業者は、適切な濃度および適用量を容易に決定することができる。
【0061】
医薬上許容される担体および/または希釈剤に関して、当業者は、精通している。液体溶液として処方される組成物に関して、許容される担体および/または希釈剤として、食塩水および無菌水が挙げられ、場合により、酸化防止剤、緩衝剤、静菌薬および他の一般的な添加剤を含有してもよい。上記組成物は、さらに、CRF受容体アンタゴニストの他に、希釈剤、拡散剤および界面活性剤、結合剤、および潤滑剤を含有する丸剤、カプセル、顆粒、または錠剤として処方されることが可能である。当業者は、適切な方法で、容認された実践(例、Remington's Pharmaceutical Sciences, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA 1990に開示された方法)に従って、CRF受容体アンタゴニストを処方しうる。
【0062】
加えて、プロドラックも、本発明の範囲内である。プロドラックは、上記のプロドラッグが患者に投与されると、インビボで構造式(I)の化合物を放出する任意の共有結合された担体である。プロドラックは、一般的に、所定の操作またはインビボのいずれかで、修飾が切断され、親化合物を生じるような方法で官能基を修飾することにより、調製される。
【0063】
立体異性体に関して、構造式(I)の化合物は、キラル中心を有してもよく、ラセミ化合物、ラセミ混合物としておよび個々の鏡像異性体もしくはジアステレオマーとして、存在してもよい。全ての上記の異性体の形態は、それらの混合物を含めて、本発明に含まれる。さらに、構造式(I)の化合物の結晶形のいくつかは、多形体として存在するものもあり、それらは、本発明に含まれる。さらに、構造式(I)の化合物は、さらに、水または他の有機溶媒と溶媒和化合物を形成することもある。このような溶媒和化合物は、同様に本発明の範囲内に含まれる。
【0064】
別の実施形態において、本発明は、多様の障害もしくは疾患(内分泌障害もしくは疾患、精神障害もしくは疾患および神経障害もしくは疾患を含む)を治療する方法を提供する。上記の方法には、本発明の化合物を障害もしくは疾患を治療するのに十分な量、哺乳類に投与することが含まれる。上記の方法には、本発明のCRF受容体アンタゴニストの好ましくは医薬組成物の形態での系統的投与が、含まれる。本明細書において使用される系統的投与には、経口および非経口の投与方法が含まれる。経口投与のための、適切なCRF受容体アンタゴニスの医薬組成物として、粉末、顆粒、丸剤、錠剤、およびカプセル、さらに液体、シロップ、懸濁液、および乳濁液が挙げられる。これらの組成物には、香料、防腐剤、沈殿防止剤、増稠剤および乳化剤、ならびに他の医薬上許容される添加剤が、さらに含まれうる。非経口投与のための、本発明の化合物は、CRF受容体アンタゴニストの他に、緩衝剤、酸化防止剤、静菌薬、および上記溶液中で一般的に使用される他の添加剤を含有しうる水性注射液中で、調製されることができる。
【0065】
別の実施形態において、本発明は、放射性もしくは非放射性医薬品により、体内の特定の部位の可視化診断を可能にする。本発明の化合物の使用は、患者の生理学的評価、機能的評価、または生物的評価、或いは、疾患の検出および評価または病理学的検出および評価を提供しうる。放射性医薬品は、シンチグラフィー、陽電子放射断層撮影(PET)、コンピューター断層撮影(CT)、および単一光子放射型コンピューター断層撮影(SPECT)において利用される。上記の適用のため、放射性同位体として、ヨウ素(I)(123I(PET)、125I(SPECT)、および131Iを含む)、テクネチウム(Tc)(99Tc(PET)を含む)、リン(P)(31Pおよび32Pを含む)、クロム(Cr)(51Crを含む)、炭素(C)(11Cを含む)、フッ素(F)(18Fを含む)、タリウム(Tl)(201Tlを含む)およびそれらに類する陽電子ならびに電離放射線の放出源のような元素が包含される。非放射性医薬品は、磁気共鳴画像法(MRI)、蛍光透視法、および超音波に利用される。上記の適用のため、同位体として、ガドリニウム(Gd)(153Gdを含む)、鉄(Fe)、バリウム(Ba)、マンガン(Mn)、およびタリウム(Tl)、のような元素が包含される。上記の物質は、さらに、混合物中の特定の標的部位の存在を同定するのに有用であり、また混合物中の分子を標識するのに有用である。
【0066】
上記の如く、本発明の化合物の投与は、非常に多様な障害もしくは疾患を治療するのに利用されうる。具体的には、本発明の化合物は、様々な病気(例えば、鬱病、不安障害、パニック障害、強迫性障害、異常攻撃、不安定狭心症、反応性高血圧症、神経性食欲不振、過食症、過敏性腸症候群、ストレス誘導性免疫の抑制、脳卒中、炎症、疼痛、クッシング病、点頭痙攣、癲癇、および物質乱用もしくは禁断症状を含む)の治療のために哺乳類に投与されうる。
【0067】
以下の実施例は、限定するのではなく、例示する目的で提供される。
実施例
本発明のCRF受容体アンタゴニストは、実施例1ないし23に開示される方法により調製されうる。実施例24は受容体結合親和力の測定方法を提供し、実施例25は本発明の化合物をCRF刺激性アデニレートシクラーゼ活性についてスクリーニングするアッセイを開示する。
【0068】
分析用HPLC−MS方法1
プラットフォーム:アギレント(Agilent)1100シリーズ:自動−試料供給装置、UV検出装置(220nMおよび254nM)、MS検出装置(APCI)を装着;
HPLCカラム:YMC CDS AQ、S−5、5μ、2.0x50mmカートリッジ;
HPLC勾配:1.0mL/分、2.5分にて水中10%アセトニトリルから水中90%アセトニトリルまで、90%を1分間維持する。アセトニトリルおよび水は共に0.025%TFAを有する。
【0069】
分析用HPLC−MS方法2
プラットフォーム:アギレント1100シリーズ:自動−試料供給装置、UV検出装置(220nMおよび254nM)、MS検出装置(APCI)を装着;
HPLCカラム:Phenomenex Synergi-Max RP、2.0x50mmカラム;
HPLC勾配:1.0mL/分、13.5分にて水中5%アセトニトリルから水中95%アセトニトリルまで、95%を2分間維持する。アセトニトリルおよび水は共に0.025%TFAを有する。
【0070】
分析用HPLC−MS方法3
プラットフォーム:アギレント1100シリーズ:自動−試料供給装置、UV検出装置(220nMおよび254nM)、MS検出装置(電子噴射)を装着;
HPLCカラム:XTerra MS、C18、5μ、3.0x250mmカラム;
HPLC勾配:1.0mL/分、46分にて水中10%アセトニトリルから水中90%アセトニトリルまで、99%アセトニトリルにまで飛び越え、99%アセトニトリルを8.04分間維持する。アセトニトリルおよび水は共に0.025%TFAを有する。
【0071】
分析用HPLC−MS方法4
プラットフォーム:アギレント1100シリーズ:自動−試料供給装置、UV検出装置(220nMおよび254nM)、MS検出装置(APCI)およびBerger FCM 1200 COポンプモジュールを装着;
HPLCカラム:Berger Pyridine、PYR 60A、6μ、4.6x150mmカラム;
HPLC勾配:4.0mL/分、120バール;1.67分にて超臨界CO中10%メタノールから超臨界CO中60%メタノールまで、60%を1分間維持する。メタノールは1.5%水を有する。背圧を140バールに制御した。
【0072】
分取用HPLC−MS
プラットフォーム:島津 HPLC:ギルソン(Gilson)215自動−試料供給装置/画分収集装置、UV検出装置およびPE Sciex API150EX質量検出装置を装着;
HPLCカラム:BHK ODS−O/B、5μ、30x75mm;
HPLC勾配:35mL/分、7分にて水中10%アセトニトリルから100%アセトニトリルまで、100%アセトニトリルを3分間維持する。0.025%TFAを有する。
【0073】
略語:
LAH:水素化アルミニウムリチウム
DCM:ジクロロメタン
DMSO:ジメチルスルホキシド
EAA:アセト酢酸エチル
LC−MS:液体クロマトグラフィー−質量分光法
NaBH(OAc):トリアセトキシホウ水素化ナトリウム
Pd−C:炭素上パラジウム(10%)
TFA:トリフルオロ酢酸
トスミック:トシルメチルイソシアニド
:保持時間(分)
【0074】
実施例1
【化11】

工程1A:
4−網の−2−メトキシ安息香酸メチル1a(6.82g、37.7ミリモル)の6N HCl中冷却懸濁液に、亜硝酸ナトリウム溶液(2.60g、37.7ミリモル)を滴下した。0℃にて20分間攪拌した後、塩化スズ・二水和物(24.7g、109.3ミリモル)を少しずつ添加した。得られた懸濁液を0℃で1.5時間攪拌し、濾過した。集めた固体をEtOHに懸濁させ、それにマロンアルデヒドビス(ジメチルアセタール)(7.5mL、45.7ミリモル)を添加し、この反応混合物を一夜還流に付した。EtOHを蒸発させた後、残渣をEtOAcと水の間で抽出し、有機相を乾燥させ、蒸発乾固させた。残渣を25%EtOAc/ヘキサンを用いてシリカゲルプラグに通し、安息香酸メチルおよびエチルの混合物としての化合物1b(7.43g)を得た。
【0075】
工程1B:
1b(10.6g)の乾燥ジエチルエーテル(200mL)中溶液に、0℃にてLAH粉末(1.74g)をゆっくりと添加した。0℃にて45分間攪拌した後、反応混合物を氷水上にデカントし、水相をpH4.0にまで酸性化した。単離した後、該アルコールをDCM中の塩化チオニル(10ml)と一緒に2.5時間還流し、氷水上にデカントし、DCMで抽出した。該塩化ベンジル粗製物をDMSO(100ml)中のNaCN(3.65g、74.4ミリモル)と共に80℃にて45分間加熱した。DMSOを除去して、クロマトグラフィー精製に付して、化合物1c(5.98g)を得た。
【0076】
工程1C:
1c(5.98g、1ミリモル)のEtOAc(150ml)中溶液に、金属ナトリウム(1.0g、43.5ミリモル)を少しずつ添加し、その混合物を一夜還流した。得られた懸濁液を氷水上にデカントし、pH4.0にまで酸性化した。有機相を乾燥させ、蒸発乾固させ、ヒドラジン・一臭化水素酸塩(15.3g、135.4ミリモル)と混合し、EtOH/HO(6:1)中で5時間還流した。有機相を乾燥させ、蒸発乾固させて化合物1d(10.4g)を得た。
【0077】
工程1D:
1d(7.5g、27.9ミリモル)の混合物をAcOH(100mL)中のアセト酢酸エチル(5.0mL)と一緒に3時間還流した。AcOHを蒸発させ、ジエチルエーテル中に沈殿させて、濾過して化合物1e(10.4g)を得た。
【0078】
工程1E:
1e(2.1g、6.3ミリモル)のアセトニトリル中懸濁液に、POCl(2.2ml、24.1ミリモル)を添加し、該混合物を5時間還流させて、氷水上にデカントし、EtOAcで抽出し、クロマトグラフィーで精製して化合物1f(1.88g)を得た。
【0079】
工程1F:
該塩素のイソプロピルアミンとの置換を、1f(30mg)と過剰量のアミンとをアセトニトリル(0.8mL)に懸濁させ、マイクロ波で160℃に16分間加熱し、Sciex2分取用LC−MSシステムで精製し、化合物1−1(13.5mg)を得た。
【0080】
【化12】

【表1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【表1−8】

【表1−9】

【表1−10】

【0081】
実施例2
【化13】

【0082】
工程2A
本発明のR位に水素を導入するために、実施例1の合成スキームを工程1Cで修飾し、実施例2の合成スキームを得た。1c(1.0g)のHCOEt(20mL)中溶液に、金属ナトリウム(0.13g)を少しずつ加え、該混合物を1.5時間還流した。得られた懸濁液を氷水上にデカントし、pH4.0にまで酸性化した。有機相を乾燥、蒸発乾固させ、ヒドラジン・一臭化水素酸塩(1.58g)と混合し、EtOH/HO(6:1)中で1時間還流した。EtOHを蒸発させ、該混合物をEtOAcとNaOH(水性)の間に抽出させた。有機相を乾燥、蒸発乾固させて化合物2a(1.20g)を得た。
【0083】
工程2B:
2a(1.2g)の混合物をAcOH(30mL)中のアセト酢酸エチル(1.0mL)と一緒に2時間還流した。AcOHを蒸発させ、ジエチルエーテル中に沈殿させ、濾過させて化合物2b(1.0g)を得た。
【0084】
工程2C:
2b(1.0g)のアセトニトリル(30mL)中懸濁液に、POCl(2.0mL)を添加し、該混合物を一夜還流させ、氷水上にデカントし、EtOAcで抽出し、クロマトグラフィー精製に付して化合物2c(0.92g)を得た。
【0085】
工程2D:
該塩素のイソプロピルアミンとの置換を、2c(30mg)と過剰量のアミンとをアセトニトリル(0.8mL)に懸濁させ、マイクロ波で160℃に16分間加熱し、Sciex2分取用LC−MSシステムで精製し、化合物2−2(14.8mg)を得た。反応するアミンに応じて、2cのアミンとの反応により、以下の表に列挙される化合物が得られた。
【0086】
【化14】

【表2】

【0087】
実施例3
【化15】

【0088】
工程3A:
7−アザインドール(24mg)の乾燥1,4−ジオキサン中溶液に15分間攪拌しながらNaH(12mg)を添加した。化合物1f(35mg)を一夜攪拌しながら添加した。分取用LC−MS精製に付して、化合物3−1(6.1mg)を得た。反応するアミンに応じて、1fのアミンとの反応により、以下の表に列挙される化合物が得られた。
【0089】
【化16】

【表3】

【0090】
実施例4
【化17】

【0091】
工程4A:
化合物4a(40g、アルドリッチ)をTHF(200mL)に溶かした。ナトリウムメトキシド溶液(48mL、MeOH中25%)を滴下し、反応混合物を室温で6時間攪拌した。水(150mL)でクエンチして、該混合物を4N HClで中和し、DCMで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、シリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、化合物4b(17.7g)を得た。
【0092】
工程4B:
カリウムt-ブチルオキシド(7.3g)のDME(40mL)中懸濁液を窒素下で-50℃に冷却した。DME(40mL)中のトスミック(9.1g)を温度を維持しながら滴下した。該反応混合物に、化合物4b(10g)を30分間攪拌しながら導入した。MeOH(100mL)を加え、反応混合物を30分間還流した。DMEおよびMeOHの大部分を除去した後、残渣を水(100mL)および酢酸エチル(100mL)に再懸濁させ、酢酸で中和した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製して化合物4c(7.0g)を得た。
【0093】
工程4C:
窒素下、THF(80mL)に溶かした化合物4c(6.25g)に、NaH(2.3g、油中60%)および酢酸エチル(1.5mL)を添加した。該混合物を手持ち式加熱ガンで該混合物から小さな泡が発生するまでゆっくりと加熱した。酢酸エチルを加え、還流を保持した。反応物を室温に1時間保持し、水(100mL)でクエンチし、ジエチルエーテル(100mL)で抽出した。水溶液を4N HClで中和し、酢酸エチル(100mLアリコート)で2回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して化合物4d(6.5g)を得た。
【0094】
工程4D:
化合物4d(12.1g)およびヒドラジン:HBr(5.61g)をEtOH:H2O(100mL、9:1の混合液)に溶かし、該混合物を2時間還流した。濃縮した後、混合物を酢酸エチル(200mL)と飽和炭酸水素ナトリウム(150mL)の間に分配させた。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して化合物4e(12.2g)を得た。
【0095】
工程4E:
化合物4e(12.2g)および酢酸アセチル(9.06g)をエタノール(50mL)と一緒に混合し、該混合物を一夜還流した。冷却後、結晶が形成し、それを収穫した。濾液をさらにジエチルエーテルで処理し、化合物4f(10.76g)を得た。
【0096】
工程4F:
化合物4f(2.0g)をPOCl(1.34mL、14.44ミリモル)およびEtN(1.6mL)に溶かし、それにジオキサン(10mL)を加え、該混合物を2時間還流させた。反応混合物を氷上に注ぎ、炭酸ナトリウムを添加してpH7に調整した。EtOAcで抽出し、MgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させ、つづいてクロマトグラフィーに付して、化合物4g(2.0g)を得た。
【0097】
工程4G:
エタノール(10mL)中の化合物4g(1.0g)に、イソプロピルアミン(2.0当量)を添加した。反応混合物を加圧容器中で一夜加熱した。エタノールを除去し、カラムクロマトグラフィーに付して、化合物4h(0.95g)を得た。イソプロピルアミンの代わりにN−エチル−N−メトキシエチルアミンを用いて化合物4h.1を得た。イソプロピルアミンの代わりに(S)−2−(メトキシメチル)ピロリジンを用いて化合物4h.2を得た。
【0098】
工程4H:
ジオキサン(20mL)中の化合物4h(0.8g)に、CuI(0.03g)、NaI(0.63g)およびトランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン(0.0036mL)を添加し、この混合物を110℃で一夜加熱した。反応混合物を濾過し、ジオキサンを除去し、残渣をEtOAcに溶かし、ブラインで洗浄した。シリカゲルを介する濾過を行い、化合物4i(0.81g)を得た。
【0099】
工程4i:
ジオキサン(2mL)中の化合物4i(40mg)に、イミダゾール(1.5当量)、CuI(26.8mg)、KCO(53.2mg)、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン(0.0015mL)およびN,N−ジメチレンジアミン(0.0014mL)を添加し、この反応混合物を110℃に一夜加熱した。該反応混合物を濾過し、分取用HPLCを介して精製し、化合物4−1(8.3mg)を得た。該発明のRおよびHet位については、この反応スキームにて使用する試薬に応じて、以下の表の化合物を得た。
【0100】
【化18】

【表4】

【表4−2】

【0101】
実施例5
中間体の調製
【化19】

【0102】
工程5A:
3−アミノ−5−メチルピラゾール(20.0g、206ミリモル)、アセト酢酸エチル(32.0g、247ミリモル)、酢酸(6mL)およびジオキサン(150mL)の溶液を16時間還流した。白色固体が沈殿し、それを濾過で集めた。フィルターケーキをエーテルで洗浄し、白色固体として5a(29.0g、86%)を得た。
【0103】
工程5B:
5a(9.0g,55ミリモル)のアセトニトリル(50mL)中懸濁液に、オキシ塩化リン(12.7g、83ミリモル)を添加した。該混合物を攪拌し、密封管中90℃にて16時間加熱した。冷却した反応混合物を氷上に注いだ。該混合物を炭酸水素ナトリウム固体で中和し、ついで酢酸エチルで抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、暗褐色油にまで濃縮した。生成粗製物を溶出液としてヘキサン中30%酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、白色固体として5b(9.9g、99%)を得た。
【0104】
工程5C:
臭素(5.3g、33ミリモル)を、0℃にて、5b(6.7g、37ミリモル)の1:1のメタノール/水(60mL)中溶液に滴下した。10分後、混合物を濾過し、形成された沈殿物を集めた。該固体を冷メタノールで洗浄し、ついで得られた橙色固体の半分を50mLのアセトニトリルに懸濁させた。2−メトキシエチルアミン(2.5g、33ミリモル)を添加し、該混合物を攪拌し、密封管中90℃にて16時間加熱した。該混合物を濃縮し、ついで残渣を乾燥DMF(25mL)に溶かし、水素化ナトリウム(2.1gの鉱油中60%分散液、53ミリモル)およびヨードエタン(8.1g、52ミリモル)で処理した。該混合物を85℃で16時間加熱し、ついで還流温度で16時間加熱した。100mLの水を加え、ついで該混合物を酢酸エチルで抽出した。合した有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、残渣をヘキサン/酢酸エチル(3:1)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、5c(0.95g、収率16%)を得た。
【0105】
同様に、以下の化合物を調製した:
2−メトキシエチルアミンの代わりにジエチルアミンを用い、アルキル化工程を削除することで5dを;
2−メトキシエチルアミンの代わりにジ−N−プロピルアミンを用い、アルキル化工程を削除することで5eを;
2−メトキシエチルアミンの代わりにN−プロピルベンジルアミンを用い、アルキル化工程を削除することで5fを;
2−メトキシエチルアミンの代わりにN‘−ベンジル−N,N−ジメチルエチレンジアミンを用い、アルキル化工程を削除することで5gを調製した。
【0106】
実施例6
【化20】

【0107】
工程6A:
化合物1f(706mg、2.0ミリモル)、(S)−プロリノール(263mg、2.6ミリモル)およびDIPEA(390mg、3.0ミリモル)のアセトニトリル(20mL)中懸濁液を還流温度で3時間加熱した。溶媒を蒸発させ、水を加え、混合物をクロロホルムで抽出した。合した有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して6a(720mg)を得た。
【0108】
工程6B:
エチルマロニルクロリド(10mg、0.06ミリモル)を、室温にて、6a(20mg、0.05ミリモル)、DIPEA(10mg、0.08ミリモル)およびDMAP(1mg)のクロロホルム(0.5mL)中溶液に添加した。該混合物を16時間放置し、ついで溶媒を蒸発させた。残渣をメタノールに溶かし、分取性HPLC/MSで直接的に精製し、TFA塩として6−1(21mg)を得た。
【0109】
【化21】

【表5】

【0110】
実施例7
【化22】

【0111】
工程7A:
水素化ナトリウム(4mgの鉱油中60%分散液、0.10ミリモル、2当量)を6a(20mg、0.05ミリモル)のDMF(0.5mL)中溶液に添加し、該混合物を室温で15分間攪拌した。ヨードエタン(16mg、0.10ミリモル、2当量)を添加し、混合物を密封バイアル中75℃で3時間加熱した。該混合物をメタノールで希釈し、分取性HPLC/MSで直接的に精製し、TFA塩として7−1(13mg)を得た。
【0112】
【化23】

【表6】

【0113】
実施例8
【化24】

【0114】
工程8A:
1f(50mg、0.14ミリモル)および2−メトキシエチルアミン(0.040mL、0.46ミリモル)のアセトニトリル(2mL)中溶液を、密封管中、マイクロ波反応装置にて150℃で1000秒間加熱した。酢酸エチルを加え、該混合物を水およびブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して油として8a(45mg)を得た。
【0115】
工程8B:
水素化ナトリウム(15mgの鉱油中60%分散液、0.38ミリモル)を8a(45mg、0.11ミリモル)のDMF(0.5mL)中溶液に添加し、該混合物を室温で15分間攪拌した。1−フルオロ−2−ヨードエタン(30mg、0.17ミリモル)を添加し、混合物を密封バイアル中80℃で3時間加熱した。酢酸エチルを加え、該混合物を水およびブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮した。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(1:1)で溶出する、シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、8−1(6mg)を得た。
【0116】
【化25】

【表7】

【表7−2】

【表7−3】

【表7−4】

【0117】
実施例9
【化26】

【0118】
工程9A:
ベンジルアミン(620mg、5.8ミリモル)、4−ブロモ酪酸エチル(750mg、3.8ミリモル)、炭酸カリウム(1.6g、12ミリモル)およびDMF(5mL)の混合物を室温で17時間攪拌した。水を添加し、混合物をジクロロメタンで2回抽出した。合した有機層を水で2回、ブラインで1回洗浄し、ついで硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させてガムとして9a粗製物(約1g)を得た。
【0119】
工程9B:
1f(50mg、0.14ミリモル)、9A粗製物(33mg、約0.13ミリモル)、アセトニトリル(1mL)およびトリエチルアミン(0.020mL、0.16ミリモル)の混合物を密封管中マイクロ波にて150℃で45分間加熱した。該混合物をメタノールで希釈し、分取性HPLC/MSで直接的に精製し、TFA塩として9−1(約15mg)を得た。
【0120】
工程9C:
9−1(10mg、0.02ミリモル)のTHF/水(2mL)中溶液を水酸化リチウム水和物(2.5mg、0.06ミリモル)で処理した。該混合物を室温で2時間攪拌し、ついでメタノールで希釈し、分取性HPLC/MSで直接的に精製し、TFA塩として9−2(4mg)を得た。
【0121】
【化27】

【表8】

【0122】
実施例10
2−メチル−4−(ピラゾール−1−イル)フェニルボロン酸ピナコールエステル試薬の合成
【化28】

【0123】
工程10A:
4−ブロモ−3−メチルアニリン(10.2g)を6N HCl(85mL)に懸濁させ、0℃に冷却した。亜硝酸ナトリウム(4g)の水40mL中溶液を10分間にわたって添加した。反応物を0℃で15分間攪拌し、つづいて塩化第一スズ(12N HCl25mL中に36g)を添加した。反応物を0℃で2時間攪拌した。反応物を濾過し、濾過ケーキを冷水で洗浄し、淡褐色固体としての4−ブロモ−3−メチルフェニルヒドラジン塩酸塩10a(20g)を得た。
【0124】
工程10B:
化合物10a(20g)を50mLのエタノールに懸濁させた。マロンジアルデヒドビス−ジメチルアセタール(11.0mL、67ミリモル)を添加し、反応物を85℃に2時間加熱した。該反応混合物を炭酸水素ナトリウムで中和し、DCMで洗浄することで抽出した。合した有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させて濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶かし、混合物をセライトパッドで濾過した。濾液を蒸発させ、油状残渣をカラムクロマトグラフィー(1:1の酢酸エチル:ヘキサン)で精製し、アンバー色油としての1−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)ピラゾール10b(9.6g、73%)を得た。
【0125】
工程10C:
化合物10b(2.0g)のジオキサン(15mL)中溶液に、ビス(ピナコラート)ジボロン(2.4g)、酢酸カリウム(2.4g)および1,1‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)(500mg)を添加した。反応物を85℃に12時間加熱した。反応混合物をセライトパッドを介して濾過し、濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。濾液を褐色液体にまで濃縮し、それをカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル:ヘキサン)で精製し、2−メチル−4−(ピラゾール−1−イル)フェニルボロン酸ピナコールエステル10c(1.8g、75%)を黄色油として得た;LC/MS:[M+H]=285.0。
2−クロロ−4−(ピラゾール−1−イル)フェニルボロン酸ピナコールエステル10dもまた、上記した方法により調製した。
【0126】
実施例11
ボロン酸中間体の合成
【化29】

【0127】
工程11A:
n−ブチルリチウム(7.9mL、ヘキサン中2.5M溶液、20ミリモル)を−78℃での化合物10b(4.7g、20ミリモル)のTHF(100mL)中溶液に添加した。該混合物を1時間にわたって−25℃にまで加温させ、ついで該混合物を−78℃に冷却した。トリメチルボレート(3.4mL、30ミリモル)を添加し、反応物を室温にまで加温させた。ついで、塩酸(1N、100mL)を加え、混合物を16時間攪拌した。水層のpHを水酸化ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウム溶液を用いて3−4に調整し、ついで該混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を濃縮し、残渣をエーテルと0.5N 水酸化ナトリウム溶液の間に分配した。該水層を2つの部分の付加的なエーテルで抽出し、濃塩酸を用いてpHを3−4にまで酸性化した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、合した酢酸エチル抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて2−メチル−4−(ピラゾール−1−イル)フェニルボロン酸(化合物11a,3.5g)をアンバー色ガムとして得た。
【0128】
実施例12
ボロン酸中間体の合成
【化30】

【0129】
工程12A:
2−クロロ−4−メチル−5−ニトロピリジン(5.0g、29ミリモル、1.0当量)をヒドラジン溶液(50mL、THF中1M溶液)に溶かし、該混合物を攪拌し、密封管中、80℃にて22時間加熱した。冷却した反応混合物を濾過し、得られた固体をエーテルで洗浄し、5.7gの緑がかった褐色固体を得た。この固体(5.7g、24ミリモル、1.0当量)、マロンアルデヒドビス(ジメチルアセタール)(5.9g、31ミリモル、1.3当量)および酢酸(50mL)の混合物を攪拌し、密封管中、80℃にて5時間加熱した。溶媒を蒸発させ、ついで炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)を添加し、該混合物を2x200mLの酢酸エチルで抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をエタノールから再結晶し、黄色固体としての12a(2.6g、収率53%)を得た。
【0130】
工程12B:
12a(2.6g、13ミリモル)および10%Pd/C(200mg)のTHF/メタノール(1:1、30mL)中混合物を、40psiの水素の下、Parr装置で室温にて2時間振とうさせた。反応混合物をセライトパッドを介して濾過し、濾液を明緑色油にまで濃縮した。該油を3N 塩酸(10mL)に再懸濁させ、0℃に冷却し、ついで亜硝酸ナトリウム(835mg、12ミリモル、1.1当量)の水(2mL)中溶液で滴下処理した。該混合物を0℃で1時間攪拌し、ついで2mLの半飽和のヨウ化カリウムを添加し、該混合物を室温で22時間攪拌した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を添加し、ついで該混合物を2x100mLの酢酸エチルで抽出し、合した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮した。残渣を溶出液としてヘキサン/酢酸エチル(4:1)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、黄色固体としての12b(1.23g、33%)を得た。
【0131】
工程12C:
n−ブチルリチウム(1.8mL、ペンタン中2.0M溶液、3.6ミリモル)を−78℃での化合物12b(600mg、2.1ミリモル)およびトリイソプロピルボレート(900mg、4.8ミリモル)のTHF(5mL)中溶液に滴下した。該混合物を1時間にわたって室温にまで加温し、ついで該混合物を−78℃に冷却し、さらなるトリイソプロピルボレート(400mg、2.1ミリモル)で処理し、つづいてさらなるn−ブチルリチウム(0.5mL、ペンタン中2.0M溶液、1.0ミリモル)で処理した。該混合物を再び室温にまで1時間にわたって加温し、ついで0.8mLの1N 塩酸を添加し、該混合物を1時間攪拌した。この混合物を濾過し、該固体をメタノールおよび酢酸エチルですすぎ、ついで濾液を濃縮した。残渣をヘキサン/酢酸エチル(1:1)で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、12c(220mg、収率52%)を赤色固体として得た。
【0132】
実施例13
【化31】

【0133】
工程13A:
水素化ナトリウム(1.54g、油中60%分散液、38.5ミリモル、2当量)を室温でのシアノアセトンナトリウム塩(2.5g、23ミリモル、1.2当量)のDMF(40mL)中溶液に添加した。該混合物を15分間攪拌し、ついで2−フルオロ−3−メチル−5−ニトロピリジン(3.0g、19.2ミリモル、1.0当量)のDMF(10mL)中溶液を滴下した。反応混合物を室温で6時間攪拌した。該反応物を5gの氷で、つづいて150mLの水および10mLの酢酸でクエンチした。該混合物を酢酸エチルで抽出し、ついで合した有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を溶出液としてヘキサン中30%酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、13a(1.85g、収率44%)を橙色油として得た。
【0134】
工程13B:
13a(1.8g、8.2ミリモル、1.0当量)、ヒドラジン・一臭化水素酸塩(1.0g、8.8ミリモル、1.1当量)、エタノール(30mL)および水(3mL)の混合物を還流温度で17時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残渣を溶出液としてヘキサン/酢酸エチル(1:1)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより直接的に精製し、13b(1.8g、収率94%)を黄色泡沫体として得た。
【0135】
工程13C:
13b(1.8g、7.7ミリモル、1.0当量)、エタノール(15mL)、酢酸(15mL)およびアセト酢酸エチル(1.6g、12.4ミリモル、1.6当量)の混合物を密封管中105℃で19時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残渣をフリットガラスフィルター上に堆積させ、エーテルですすぎ、13c(1.0g、収率43%)を黄色固体として得た。
【0136】
工程13D:
13c(300mg、1.0ミリモル、1.0当量)、オキシ塩化リン(340mg、2.2ミリモル、2.2当量)およびアセトニトリル(10mL)の混合物を3時間還流させた。反応物を氷上に注ぎ、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、ついで酢酸エチルで抽出した。合した酢酸エチル抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。アセトニトリル(10mL)およびジエチルアミン(0.30mL、2.9ミリモル、2.9当量)を該残渣に加え、混合物を還流温度で1時間加熱した。混合物を濃縮し、ついでヘキサン/酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより直接的に精製し、13d(300mg、収率84%)を得た。
【0137】
工程13E:
10%Pd/C(100mg)を13d(200mg、0.56ミリモル、1.0当量)のエタノール(6mL)およびTHF(6mL)中窒素散布溶液に添加した。該混合物をパール振とう器にて35psiの水素気体の下室温で2時間振とうさせた。該混合物を窒素でパージし、濾過した。濾液を濃縮し、アミノピリジン粗製物を得た。このアミノピリジン粗製物(全体量)の4N 塩酸(5mL)中氷冷溶液に、亜硝酸ナトリウム(43mg、0.62ミリモル、1.1当量)の水(1mL)中溶液を滴下した。該混合物を0℃で1時間攪拌し、つづいてヨウ化カリウム(150mg、0.90ミリモル、1.6当量)の水(1.5mL)中溶液を滴下した。該混合物を室温で2時間攪拌し、ついで20mLの炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え、該混合物を酢酸エチルで抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を溶出液としてクロロホルム/メタノール/水性アンモニア(95:5:0.01)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、13e(73mg、収率27%)を得た。
【0138】
工程13F:
13e(20mg、0.05ミリモル、1.0当量)のジオキサン(1mL)中溶液に、炭酸カリウム(14mg、0.1ミリモル、2.0当量)、ピラゾール(6mg、0.09ミリモル、1.8当量)、ヨウ化銅(I)(6mg、0.03ミリモル、0.6当量)、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン(5mg、0.04ミリモル、0.8当量)およびN,N‘−ジメチルエチレンジアミン(5mg、0.06ミリモル、1.1当量)を添加した。該混合物を攪拌し、密封管にて90℃で16時間加熱した。反応混合物をセライトパッドを介して濾過し、濃縮し、分取性HPLC/MSで精製して13−1(7mg、収率30%)をTFA塩として得た。
【0139】
【化32】

【表9】

【0140】
実施例14
【化33】

【0141】
工程14A:
2−アミノ−5−ブロモ−4−メチルピリジン(1g、5.4ミリモル)および2,5−ジヒドロキシテトラヒドロフラン(2.8g、27ミリモル)の酢酸(10mL)中溶液を密封管中90℃で2時間加熱した。該反応混合物を濃縮し、残渣をヘキサン/酢酸エチル(4:1)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、14a(900mg、収率71%)を明黄色油として得た。
【0142】
工程14B:
n−ブチルリチウム(3.6mL、ペンタン中2.0M溶液、7.2ミリモル)を−78℃での化合物14a(860mg、3.6ミリモル)およびトリイソプロピルボレート(1.4g、7.3ミリモル)のTHF(6mL)中溶液に滴下した。混合物を室温にまで1時間にわたって加温し、ついで、4N塩酸(0.5mL)を加え、混合物を10分間攪拌した。混合物を2x25mLのジクロロメタンで抽出し、ついで有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して14b(250mg)を黄色油として得た。水層を濃縮し、ついで固体の残渣をエタノールで洗浄した。合したエタノール濾液を濃縮し、さらなる14b(500mg)を黄色油として得た。
【0143】
実施例15
【化34】

【0144】
工程15A:
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(46mg、0.04ミリモル)を5e(165mg、0.51ミリモル)および11a(80mg、0.40ミリモル)のトルエン/エタノール(2mL)中溶液に添加した。2.0M炭酸ナトリウム水溶液(0.6mL、1.2ミリモル)を添加し、混合物を攪拌し、密封バイアル中、90℃で3時間加熱した。冷却した混合物を酢酸エチルで抽出し、ついで合した有機抽出液をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をヘキサン/酢酸エチル(2:1)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。得られた部分精製の生成物の3分の2を再びシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、15−1(6mg)を油状物として得た。
【0145】
【化35】

【表10】

【0146】
実施例16
【化36】

【0147】
工程16A:
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(30mg、0.026ミリモル)を5c(164mg、0.50ミリモル)および10c(284mg、1.0ミリモル)のジオキサン/水(20mL)中溶液に添加した。炭酸カリウム(207mg、1.5ミリモル)を添加し、混合物を攪拌し、密封バイアル中、100℃で16時間加熱した。冷却した混合物を酢酸エチルで抽出し、ついで合した有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取性HPLC/MCで精製し、16−1(81mg、収率31%)をTFA塩として得た。
【0148】
【化37】

【表11】

【0149】
実施例17
【化38】

【0150】
工程17A:
塩化アセチル(20mL、280ミリモル)を、氷浴中、攪拌しながらメタノール(200mL)に添加した。(S)−2−アミノ酪酸(10.0g、97ミリモル)をメタノール溶液に添加し、該混合物を還流温度で64時間加熱した。冷却した溶液を蒸発乾固させ、ついで残渣をトルエンと一緒に3回共蒸発させ、減圧下で乾燥させ、17a(14.8g)を白色固体として得た。
【0151】
工程17B:
17a(98mg、0.65ミリモル)、1F(150mg、0.42ミリモル)、トリエチルアミン(0.088mL、0.63ミリモル)およびアセトニトリル(1.5mL)の混合物を、マイクロ波反応容器中、150℃で35分間加熱した。混合物を酢酸エチルと水性炭酸水素ナトリウムの間に分配し、ついで有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をヘキサン/酢酸エチル(1:1)で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、17−1(70mg)を黄褐色固体として得た。HPLC−MS(方法2)t=5.07 MH=435.0。
【0152】
実施例18
【化39】

【0153】
工程18A:
水酸化リチウム水和物(10mg、0.23ミリモル)を17−1(65mg、0.15ミリモル)、THF(2mL)および水(1mL)の混合物に添加した。該混合物を室温で90分間激しく攪拌し、ついで該混合物を2N塩酸(0.12mL、0.24ミリモル)で酸性化した。溶媒を蒸発させた。固体の残渣を水で洗浄し、トルエンと一緒に共蒸発させ、ついで減圧下で乾燥させ、18aを粘着性固体として得た。
【0154】
工程18B:
18a(全体量)、HOBT(27mg、0.20ミリモル)、アセトアミドオキシム(15mg、0.21ミリモル)およびジクロロメタン(2mL)の混合物をDIC(0.030mL、0.20ミリモル)と室温で処理した。DMF(0.25mL)を添加し、該混合物を10分間攪拌し、ついで乾固するまで濃縮した。酢酸エチルを加え、混合物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、水およびブラインで連続して洗浄した。酢酸エチル層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して18b粗製物を得た。
【0155】
工程18C:
酢酸ナトリウム(28mg、0.30ミリモル)を18b粗製物(全体量)のエタノール/水(5:1、1.2mL)中溶液に添加し、該混合物を密封管中75℃で1.5時間加熱した。溶媒を蒸発させた。残渣をジクロロメタンと水性炭酸水素ナトリウムの間に分配し、ついで有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をヘキサン/酢酸エチル(2:3)で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して18−1(30mg、17−1からの収率44%)を得た。HPLC−MS(方法2)t=4.97 MH=459.0。
【0156】
実施例19
【化40】

【0157】
工程19A:
4−ブロモ−2−フルオロベンジルアルコール(9.71g、47ミリモル)、CuI(8.9g、47ミリモル)、N,N‘−ジメチルエチレンジアミン(0.44mL)、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン(0.52mL)、ピラゾール(4.7g、69ミリモル)および炭酸カリウム(64g、460ミリモル)のジオキサン(200mL)中混合物を100℃にて19時間加熱した。冷却した混合物を濾過し、ついで濾液を蒸発させた。残渣を酢酸エチルに溶かし、有機混合物を水およびブラインで洗浄し、ついで硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濃縮を行って19aを得、その全体量を次の反応工程に使用した。
【0158】
工程19B:
塩化チオニル(6.9mL、95ミリモル)を19a(上記工程からの全体量)のジクロロメタン(50mL)中溶液に滴下し、混合物を2.5時間還流した。冷却した混合物を氷水上に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して19b(12g)を褐色固体として得た。
【0159】
工程19C:
DMSO(10mL)を19b粗製物(12g)およびシアン化ナトリウム(2.3g、47ミリモル)の混合物に添加し、得られた懸濁液を攪拌し、80℃で45分間加熱した。DMSOを減圧下で除去し、ついで残渣をヘキサン/酢酸エチルで溶出するクロマトグラフィーに付して19c(2.2g)を得た。
【0160】
工程19D:
19c(2.2g、10ミリモル)の酢酸エチル(50mL)中溶液に、金属ナトリウム(400mg、17ミリモル)を少しずつ添加し、該混合物を70℃で16時間加熱した。得られた懸濁液を氷水上にデカントし、塩酸で該混合物をpH4に酸性化した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をエタノール/水(6:1、50mL)に溶かし、ついでヒドラジン・一臭化水素酸塩(4.52g、41ミリモル)を加え、混合物を攪拌し、22時間還流した。混合物を濃縮し、ついで酢酸エチルに溶かし、水およびブラインで洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて19d粗製物を得、その全体量を次の反応工程に使用した。
【0161】
工程19E:
19d(上記の工程からの全体量)およびアセト酢酸エチル(2.1g、16ミリモル)のエタノール/酢酸(1:1、10mL)中懸濁液を18時間還流させた。溶媒を蒸発させ、ついで残渣をフリットガラスフィルターに堆積させ、エーテルで洗浄し、19e(600mg)を固体として得た。
【0162】
工程19F:
19e(600mg、1.85ミリモル)のジオキサン(2.5mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.52mL、3.7ミリモル)およびオキシ塩化リン(0.43mL、4.6ミリモル)を加え、該混合物を1時間還流した。冷却した混合物を氷水上に注ぎ、ついで酢酸エチルで抽出した。合した有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して19f(500mg)を得、それをさらに精製することなく使用した。
【0163】
工程19G:
19f(57mg、0.17ミリモル)および2−(メトキシエチル)エチルアミン(0.031mL、0.25ミリモル)のアセトニトリル(0.5mL)中懸濁液を密封管中160℃でマイクロ波反応装置にて16時間加熱した。その混合粗製物を分取性HPLC/MSによる精製に付し、19−1(17mg)をTFA塩として得た。
【0164】
【化41】

【表12】

【0165】
実施例20
【化42】

【0166】
工程20A:
炭酸ナトリウム(500mg、4.7ミリモル)を2−メトキシエチルアミン(0.20mL、2.3ミリモル)および3−ブロモ−1,1,1−トリフルオロプロパン(0.40mL、3.8ミリモル)のDMF(2mL)中溶液に添加した。該混合物を室温で48時間攪拌し、ついで水を加え、該混合物をジクロロメタンで抽出した。合した有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、20aを油状物として得た。
【0167】
工程20B:
20a粗製物の半分を1f(30mg)と実施例1の最終工程の操作にしたがって反応させ、分取性HPLC/MS精製により20−1(13mg)をTFA塩として得た。
【0168】
【化43】

【表13】

【0169】
実施例21
【化44】

【0170】
工程21A:
1e(30mg、0.09ミリモル)のDMF(2mL)中溶液に、水素化ナトリウム(約10mg、鉱油中60%分散液、0.25ミリモル)を添加し、該混合物を室温にて5分間攪拌した。4−フルオロベンジルブロミド(約100mg、0.30ミリモル)を添加し、該混合物を密封バイアル中室温にて2時間攪拌した。混合物を分取性HPLC/MSを用いて直接的に精製し、化合物21−1(8mg)をTFA塩として得た。HPLC−MS(方法2)t=1.49 MH=444.1。
【0171】
実施例22
【化45】

【0172】
工程22A:
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(15mg、0.013ミリモル)を4h.1(50mg、0.12ミリモル)およびフラン−3−ボロン酸(23mg、0.21ミリモル)のジオキサン(1mL)中溶液に添加した。炭酸カリウム(40mg、0.29ミリモル)の水(0.20mL)中溶液を添加し、該混合物を攪拌し、密封バイアル中、100℃で16時間加熱した。冷却混合物をメタノールで希釈し、濾過し、分取性HPLC/MSで直接的に精製し、22−1(22mg、收率34%)をTFA塩として得た。
【0173】
【化46】

【表14】

【0174】
実施例23
【化47】

【0175】
工程23A:
n−ブチルリチウム(0.80mL、ヘキサン中2.5M溶液、2.0ミリモル)を−78℃でのオキサゾール(0.138mL、2.0ミリモル)のTHF(10mL)中溶液に滴下した。45分後、塩化亜鉛(8mL、THF中0.5M溶液、4.0ミリモル)を添加し、該混合物を0℃に加温し、この温度で1時間攪拌した。4h.2(91mg、0.20ミリモル)のTHF(2.5mL)中溶液を、つづいてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(46mg、0.04ミリモル)を添加した。混合物を1.5時間還流させ、ついでジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(25mg、0.036ミリモル)を添加し、混合物をさらに1.5時間還流させた。炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、該混合物を酢酸エチルで抽出した。合した酢酸エチル抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮し、ついで溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより部分的に精製した。その部分的に精製された生成物をメタノール溶液としてカチオン交換カラム(500mg Varian SCX、H形態、ジクロロメタンおよびメタノールで予め洗浄されている)に充填した。不純物をメタノールで溶出し、つづいて該生成物をメタノール中1Mアンモニアで溶出し、23−1(18mg、收率21%)を淡黄色固体として得た。HPLC−MS(方法2)t=4.92 MH=434.0。
【0176】
実施例24
本発明の化合物は、一般に、Grigoriadisら(Mol. Pharmacol. 第50巻、679−686頁、1996)およびHoareら(Mol. Pharmacol 第63巻、751−765頁、2003)に記載されるような、標準的放射性リガンド結合アッセイによりCRF受容体との結合活性について評価されうる。放射性標識されたCRFリガンドを利用することにより該アッセイは使用され、本発明の化合物の結合活性をCRF受容体サブタイプで評価しうる。
【0177】
簡単に言えば、該結合アッセイは放射性標識されたCRFリガンドをCRF受容体から移動させることを含む。より詳しくは、該結合アッセイは、ヒトCRF受容体で安定的にトランスフェクトされた細胞から由来の1−10μgの細胞膜を用いて、96−ウェルのアッセイプレートで行われる。各ウェルは、目的とする化合物または対照となるリガンド(例えば、サウバジン(sauvagine)、ウロコチン(urocotin)IまたはCRF)を含有する約0.05mlのアッセイバッファー(例えば、ダルベッコ・リン酸緩衝セイライン、10mM 塩化マグネシウム、2mM EDTA)、0.05mlの[125I]チロシン−サウバジン(最終濃度約150pMまたはScatchard分析により測定した場合のおよそのK)、および0.1mlのCRF受容体を含有する細胞膜懸濁液を受ける。該混合物を22℃で2時間インキュベートし、つづいてガラスファイバーフィルターでの急速濾過により結合およびフリー放射性リガンドを分離させる。3回洗浄した後、フィルターを乾燥させ、放射性活性(125Iからのオージェ電子)をシンチレーションカウンターを用いて計数する。すべての放射性リガンド結合データは非線形最小二乗曲線適合プログラムプリズム(GraphPad Software Inc)またはXLfit(ID Business Solutions Ltd)を用いて分析されうる。
【0178】
実施例25
CRF刺激のアデニレートシクラーゼ活性
本発明の化合物はまた、種々の機能試験により評価されてもよい。例えば、本発明の化合物はCRF刺激のアデニレートシクラーゼ活性についてスクリーニングされうる。CRF刺激のアデニレートシクラーゼ活性を測定するためのアッセイは、全細胞調製に対するアッセイに適合するように修飾を加えて、一般に、Battagliaら(Synapse 1:572,1987)に記載されているように実施されてもよい。
【0179】
さらに詳しくは、標準的なアッセイ混合物は、0.1mlの最終容量にて、以下の:2mM L−グルタミン、20mM HRPES、および1mM IMBX/DMEMバッファーを含有してもよい。刺激実験において、特定の受容体サブタイプの薬理学的順位のプロフィールを確立するために、CRF受容体をトランスフェクトさせた全細胞を96−ウェルプレートに置き、種々の濃度のCRF関連の、および非関連のペプチドと一緒に37℃で30分間インキュベートする。インキュベーション後に、標準的な市販のキット、例えばApplied Biosystems製のcAMP−Screen(登録商標)を用いてサンプル中のcAMPを測定する。化合物の機能を評価するために、細胞と、cAMP産生の50%刺激を惹起する単一濃度のCRFまたは関連ペプチドを種々の濃度の競合化合物および上記したように測定されたcAMPと一緒に37℃で30分間インキュベートする。
【0180】
本発明の具体的な実施形態は説明のために本明細書中に記載されているが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の修飾がなされてもよい。したがって、本発明は添付した特許請求の範囲により限定される場合を除き、限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式:
【化1】

[式中:
「---」は任意の二重結合の第二の結合を表し;
は水素、アルキル、置換アルキル、−NHまたはハロゲンであり;
は−NR8または−OR10であり;
は結合、水素またはアルキルであり;
Yは=(CR)−または−(C=O)−であり;
は水素、アルキル、置換アルキル、チオアルキル、アルキルスルフィニルまたはアルキルスルホニルであり;
Arはフェニル、1個もしくは2個のRで置換されていてもよいフェニル、ピリジル、または1個もしくは2個のRで置換されていてもよいピリジルであり;
は、各々の場合において、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノ、ハロゲン、アルキルスルフィニルまたはアルキルスルホニルであり;
Hetは、1個もしくは2個のRで置換されていてもよいヘテロアリールであり;
は、各々の場合において、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノ、ハロゲン、−C(O)OR11またはヒドロキシであり;
は水素、アルキル、置換アルキル、複素環、置換複素環、複素環式アルキル、置換複素環式アルキル、アルコキシアルキル、置換アルコキシアルキル、アリール、置換アリール、アリールオキシアルキル、置換アリールオキシアルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルであり;
はアルキル、置換アルキル、複素環、置換複素環、複素環式アルキル、置換複素環式アルキル、アルコキシアルキル、置換アルコキシアルキル、アリール、置換アリール、アリールオキシアルキル、置換アリールオキシアルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルであるか;または
とRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1、2または3個のRで置換されていてもよい複素環を形成し;
は、各々の場合において、ヒドロキシ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、−CH−OC(O)R13、−C(O)OR11、−C(O)NR1112、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、アリール、置換アリール、複素環、置換複素環、アルコキシアルキルまたは置換アルコキシアルキルであり;
10はアルキル、置換アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、アリールオキシアルキルまたは置換アリールオキシアルキルであり;
11とR12は、同一または異なり、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、複素環、置換複素環、複素環式アルキル、置換複素環式アルキル、アルコキシアルキル、置換アルコキシアルキル、アリール、置換アリール、アリールオキシアルキル、置換アリールオキシアルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルであり;および
13はアルキル、置換アルキル、複素環、置換複素環、アルコキシまたは置換アルコキシを意味する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩、エステル、溶媒和化合物、立体異性体もしくはプロドラック。
【請求項2】
が水素、アルキルまたは置換アルキルであるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が−NRであるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
とRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個のRで置換されている複素環を形成するところの、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
がヒドロキシ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキル、置換アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、アリール、置換アリール、複素環、置換複素環、アルコキシアルキルまたは置換アルコキシアルキルであるところの、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
が結合であるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
Yが=(CR)−であるところの、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
が水素、アルキルまたは置換アルキルであるところの、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
が水素またはアルキルであるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
Yが−(C=O)−であるところの、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
Arが1個のRで置換されているところの、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
がアルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノまたはハロゲンであるところの、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
Hetが1個のRで置換されているところの、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
がアルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノまたはハロゲンであるところの、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
が−OR10であるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
Yが=(CR)−であるところの、請求項3記載の化合物。
【請求項17】
がアルキル、置換アルキル、アルコキシまたは置換アルコキシであるところの、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
がアルキル、置換アルキル、複素環式アリールアルキル、置換複素環式アリールアルキル、アルコキシアルキル、置換アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、置換アリールオキシアルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルであるところの、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
が水素、アルキル、置換アルキルまたはアルコキシアルキルであるところの、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
請求項1に記載の化合物、および医薬上許容される担体または希釈体を含む、組成物。
【請求項21】
哺乳動物におけるCRFの分泌過多を明らかに示す障害の治療方法であって、該動物に請求項20の医薬組成物を有効量投与することを含む、方法。
【請求項22】
障害が発作であるところの、請求項21記載の方法。
【請求項23】
障害が鬱病であるところの、請求項21記載の方法。
【請求項24】
障害が強迫神経症であるところの、請求項21記載の方法。
【請求項25】
障害が過敏性腸症候群であるところの、請求項21記載の方法。

【公表番号】特表2007−515474(P2007−515474A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546400(P2006−546400)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【国際出願番号】PCT/IB2004/004293
【国際公開番号】WO2005/063756
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(502078239)エスビー・ファルムコ・プエルト・リコ・インコーポレイテッド (22)
【氏名又は名称原語表記】SB Pharmco Puerto Rico Inc
【出願人】(500389793)ニューロクライン バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】